臨床試験情報

登録受付中の臨床試験

登録受付中の臨床試験

第III相 TR研究 WJOG20924L (J-OLIGO)

IV期オリゴ転移の非小細胞肺癌患者に対する免疫チェックポイント阻害薬と局所治療を含む集学的治療の有効性を検証する第III相試験 (山本小班インターグループ試験)

宮脇 太一
順天堂大学医学部附属順天堂医院
呼吸器内科
Point
オリゴ転移は、局所進行癌と全身に広く転移した状態の中間の病態と考えられています。標準治療に手術や放射線治療などの局所治療を追加することで、予後の改善が期待できる集団として、欧米を中心に治療開発が進められてきました。非小細胞肺癌においては、一般的に「3〜5個以内の少数転移」を伴う状態で、かつ原発巣を含む全ての病変に対して局所治療が可能であることが、オリゴ転移と定義されるようになっています。
これまで、局所治療追加の有効性を示唆する臨床試験が複数報告されてきましたが、その多くは小規模な検討に留まっており、なかには有効性に対して否定的な結果も示されています。このような背景のもと、WJOG(西日本がん研究機構)では、オリゴ転移を伴うIV期非小細胞肺癌患者を対象に、局所治療と免疫チェックポイント阻害薬を含む集学的治療の有効性を検討する第II相試験(WJOG11118L/TRAP-OLIGO)を実施しました。
本試験(第III相試験)は、その結果に基づき、オリゴ転移に対する集学的治療の有効性を検証するために計画されました。本試験を通じて、オリゴ転移を伴うIV期非小細胞肺癌患者さんに対する、より有効な標準治療の確立を目指しています。
なお、本試験はWJOGだけでなく、本邦における主要な臨床試験グループとの共同実施であり、All Japanの体制で試験を推進しております。

第II相 TR研究 WJOG19324G (ZELDA)

ゾルベツキシマブとフルオロピリミジン系薬剤及び白金製剤を用いた一次治療に対して不応/不耐後のCLDN18.2 陽性切除不能進行・再発胃癌及び食道胃接合部癌に二次治療でゾルベツキシマブを併用することの有効性を検討するランダム化第Ⅱ相試験

稲垣 千晶
近畿大学医学部内科学教室
腫瘍内科部門
Point
CLDN18.2は胃癌細胞の表面に発現するタンパク質であり、近年、この分子を標的とした抗体薬ゾルベツキシマブ(ビロイ®)が一次治療として承認されました。しかし、ゾルベツキシマブを含む一次治療後に病勢が進行した患者さんに対する最適な二次治療は、いまだ確立されていません。とくに、ゾルベツキシマブを二次治療以降も継続投与すること(beyond progression)の意義については、現時点では明らかになっていません。 本試験(ZELDA試験)は、ゾルベツキシマブを用いた一次治療後に進行したCLDN18.2陽性の進行胃癌・食道胃接合部腺癌の患者さんを対象に、ナブパクリタキセル(アブラキサン®)+ラムシルマブ(サイラムザ®)療法へゾルベツキシマブを上乗せすることの有効性および安全性を検証するランダム化第II相試験です。 なお、ナブパクリタキセル+ラムシルマブとゾルベツキシマブの併用に関する安全性については、本試験のsafety lead-inパートにおいて6名の患者さんにご協力いただき、確認することができました。2026年5月からは、主要評価項目を無増悪生存期間(PFS)とするランダム化パートの開始を予定しており、210名の患者さんにご協力をお願いしたいと考えています。 さらに、このランダム化パートでは、付随研究(ZELDA-TR)として、腫瘍組織および血液検体を用いたバイオマーカー研究も同時に実施します。これにより、治療効果を予測するバイオマーカーの探索や、耐性メカニズムの解明を目指します。 本試験の成果を通じて、CLDN18.2陽性胃癌の患者さんに、より有効な治療を届けられることを期待しています。

第II相 TR研究 WJOG18123B (SAKURA)

アロマターゼ阻害薬による手指の関節痛またはこわばりに対するエクオール含有食品の有効性を検討するプラセボ対照ランダム化試験

寺田 かおり
秋田大学医学部附属病院
乳腺・内分泌外科
Point
ホルモン受容体陽性の閉経後乳癌患者さんは、ホルモン療法としてアロマターゼ阻害薬を内服しますが、女性ホルモンであるエストロゲンの枯渇により、更年期症状や関節痛などの副作用を生じることがあります。なかでも関節痛は、服薬開始後に約半数の方に発現し、一般的な鎮痛薬の内服が勧められるものの、有効な対応は確立していないのが現状です。一方、大塚製薬が開発し販売しているS-エクオール含有食品「エクエル」は、エクオールという物質を産生できない体質の方(日本人の中高年女性の約半数と言われます)において、更年期のエストロゲンの枯渇により生じる手指の関節痛、こわばりなどに対する有効性を示しました。そこで今回、「WJOG18123Bアロマターゼ阻害薬による手指の関節痛またはこわばりに対するエクオール含有食品の有効性を検討するプラセボ対照ランダム化試験(SAKURA)」で、更年期症状と同様に、アロマターゼ阻害薬による関節症状をエクエルで改善できないか検討することと致しました。35施設が参加して試験が行われます。

第II相 医師主導治験 WJOG17723M (FUTAB-CUP(フタバ・カップ)) UP

原発不明癌に対するAB122+TAS-120の有効性を検討する第II相医師主導治験

谷﨑 潤子
近畿大学病院
腫瘍内科
Point
原発不明癌は、様々に検査を行ってもがんが最初に発生した臓器(原発巣)を特定できないがんで、診断時にすでに全身へ広がっていることが多く、予後は極めて不良な疾患です。これまでプラチナ製剤を含む化学療法が標準的に行われてきましたが、その後の有効な治療法は確立しておらず、新たな治療選択肢が強く求められてきました。近年、本邦で実施された医師主導治験(NivoCUP試験)により抗PD-1抗体であるニボルマブの効果が示され、免疫チェックポイント阻害薬がこの領域でも有望であることが明らかになっています。 本試験では、抗PD-1抗体AB122と、FGFR阻害薬として開発が進められているTAS-120を組み合わせた併用療法の有効性と安全性を検討します。AB122は、すでに有効性が示されているニボルマブと同じく、がん細胞が免疫の攻撃から逃れる仕組み(PD-1経路)を解除することでT細胞によるがん細胞への攻撃を回復させる薬剤です。一方TAS-120は、もともとFGFRという遺伝子の異常を持つがんに対して開発されてきた薬剤ですが、近年の基礎研究や企業治験において、FGFR遺伝子異常の有無にかかわらず、腫瘍の周囲の免疫環境を変化させて抗PD-1抗体の効きやすい状態をつくる「免疫調整作用」を持つことが示唆されています。実際に、AB122とTAS-120の併用は、抗PD-1抗体単剤では効果が十分でなかった一部のがん種においても有望な成績が報告されており、原発不明癌でも同様に上乗せ効果が期待されます。 本試験では、化学療法未治療の患者さんと、プラチナ療法を受けたあとの患者さんの両方を対象とします。プラチナ療法既治療例については、AB122単剤群とAB122+TAS-120併用群とにランダムに割り付け、独立した中央判定による奏効率(治療によってがんが縮小した患者さんの割合)を主要評価項目として、併用療法の効果を客観的に評価します。 本試験を通じて、これまで有効な治療選択肢の限られていた原発不明癌の患者さんに対し、AB122+TAS-120併用療法という新しい治療の可能性をお届けできることを期待しています。

第II相 TR研究 WJOG17523L (ORACLE study) UP

オシメルチニブによる術後補助治療を受けたEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに対するオシメルチニブ(+化学療法)再投与の有効性を検討する第二相比較試験

大矢 由子
藤田医科大学病院
呼吸器科・アレルギー科
Point
EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんでは、手術でがんを取りきった後に、再発を防ぐ目的でオシメルチニブ(タグリッソ®)という分子標的薬を服用することがあります。しかし、この治療を終えた後にがんが再発した場合、どの薬物療法を選ぶのがよいかについては、まだ十分なデータがありません。 再発した場合の治療として、オシメルチニブをもう一度使用する方法が考えられます。一方で、オシメルチニブに抗がん剤を組み合わせることで、より高い治療効果が得られる可能性もあります。しかし、手術後に再発した患者さんでは、一般的なステージ4の患者さんに比べてがんの量や病気の経過が異なる可能性があります。そのため、すべての患者さんに強い併用治療が必要なのか、あるいはオシメルチニブのみで十分な患者さんがいるのかを明らかにすることが重要です。 本試験では、手術後に再発予防のためオシメルチニブを一定期間服用し、その後に再発したEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの患者さんを対象とします。治療として、オシメルチニブのみを使用する方法と、オシメルチニブにプラチナ製剤およびペメトレキセドという抗がん剤を組み合わせる方法を比較します。 この試験により、手術後にオシメルチニブを使用した後に再発した患者さんに対して、どの程度の治療が適切なのかを明らかにし、患者さん一人ひとりに過不足のない治療を届けることを目指します。ORACLEという言葉には、本来「予言」や「神託」といった意味があります。本試験では、術後補助オシメルチニブ後に再発した患者さんに対する治療選択という、まだ十分な答えのない臨床課題に対して、今後の診療の指針となる知見を得たいという思いを込めて、この名称を付けました。

第II相 TR研究 WJOG17323L (AGEHA study)

Uncommon EGFR 遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌に対するアミバンタマブ+ラゼルチニブ併用療法とアファチニブの有効性を比較するランダム化第II相試験

宮脇 太一
順天堂大学医学部附属
順天堂医院
呼吸器内科
Point
非小細胞肺がんの約3~6%(EGFR変異陽性例の10~15%)を占める「Uncommon変異」や「Compound変異」は、希少なドライバー遺伝子変異です。現在、これらの遺伝子変異を有する患者さんには、アファチニブ(ジオトリフ®)やオシメルチニブ(タグリッソ®)といった分子標的薬が有効で標準治療とされています。しかし、約8~10カ月で「耐性」が生じることが課題となっており、より長く効果が持続する治療法の開発が世界的に熱望されています。
新たな有力候補として注目されているのが、アミバンタマブ(ライブリバント®/リブロファズ®)とラゼルチニブ(ラズクルーズ®)の併用療法です。過去の比較的小規模な試験では、未治療の患者さんにおいて耐性までの期間が大幅に延長したことが報告されています。一方で、点滴に伴う過敏反応(インフュージョンリアクション)や皮膚毒性、浮腫などの副作用が強く認められることも報告されており、既存治療との比較検討が必要です。
本試験では、未治療の患者さんを対象に、アミバンタマブとラゼルチニブの併用療法と、アファチニブの有効性を比較する多施設共同第II相試験を実施します。この研究を通じ、Uncommon/Compound EGFR遺伝子変異という希少な遺伝子変異を持つ患者さんに対する「世界における新たな標準治療」の確立を目指しています。

第III相 WJOG16923L (STEP UP trial)

臨床病期IA3期の肺野末梢充実型非小細胞肺癌に対する肺葉切除と区域切除のランダム化比較第Ⅲ相試験

上垣内 篤
広島大学病院
呼吸器外科
Point
最近発表された大規模臨床試験(JCOG0802/WJOG4607L)により、肺野末梢の2 cm以下の肺癌に対しては、肺の切除範囲が少ない「区域切除」が従来の標準手術である「肺葉切除」と比較して予後が劣らないばかりか、優れることが示されました。肺癌以外の他病死が「区域切除」で少なく、肺の温存により身体への負担が軽減され、予後の向上に貢献したと考えられています。さらに、悪性度が高いと考えられている薄切CT上の充実型肺癌に対しても区域切除による生存利益を認め、2cmを超える充実型肺癌にも区域切除を適応できる可能性が示唆されています。一方で区域切除では局所再発のリスクが高まる可能性もあり、区域切除と肺葉切除のどちらが有効な治療法かは不明です。そこで本試験は臨床病期IA3期(2 cmを超え3 cm以下)の肺野末梢充実型非小細胞肺癌の患者さんを対象として、区域切除の臨床的有用性を、標準治療である肺葉切除と比較し評価することを目的としています。本試験の結果により、早期肺癌の患者さんに対し、より有効で身体への負担が少ない手術法が確立されることを期待しています。