西日本がん研究機構(WJOG)●臨床試験情報●臨床試験 登録受付中の臨床試験 呼吸器グループ 消化器グループ 乳腺グループ バスケット委員会 第III相 TR研究 WJOG20924L (J-OLIGO) UP IV期オリゴ転移の非小細胞肺癌患者に対する免疫チェックポイント阻害薬と局所治療を含む集学的治療の有効性を検証する第III相試験 (山本小班インターグループ試験) 第II相 TR研究 WJOG20424L (Japan Modified COCOON) UP EGFR変異陽性・未治療進行非小細胞肺がんにおけるAmivantamab + Lazertinibの皮膚有害事象に対する予防的介入を評価する単群第II相試験 第II相 医師主導治験 TR研究 WJOG19524G (OPTIMIZE) UP ゾルベツキシマブに対するオランザピンと抗ヒスタミンを含む5剤併用制吐療法およびオランザピンの前日投与を追加した5剤併用制吐療法の制吐効果と安全性を評価する第II相試験 古田 光寛神奈川県立がんセンター 消化器内科(消化管) Point ゾルベツキシマブは進行・再発胃癌患者さんに対する新たな治療薬として近年承認されましたが、悪心・嘔吐の副作用が強いことが問題です。しかし、悪心・嘔吐に対する適切な制吐療法は確立していません。本研究では、制吐療法として5-HT3受容体拮抗薬+ステロイド+NK1受容体拮抗薬+抗ヒスタミン薬+オランザピンの有効性を評価することを目的としています。またゾルベツキシマブは投与開始早期に悪心・嘔吐が出現することから、投与前日のオランザピンを内服する群と偽薬(プラセボ)を内服する群にランダム化しオランザピンの前日投与の意義を評価することも本研究の目的としています。 第II相 TR研究 WJOG19324G (ZELDA trial) UP 抗CLDN18.2抗体薬とフルオロピリミジン系薬剤及び白金製剤に対して不応/不耐後のCLDN18.2陽性切除不能進行・再発胃癌及び食道胃接合部癌に二次治療でゾルベツキシマブを投与することの有効性を検討するランダム化第Ⅱ相試験 第II相 TR研究 WJOG18224L (CREEPER) UP MET exon 14 skipping 陽性、化学療法未治療・進行再発の非小細胞肺癌患者を対象としたカプマチニブ +/- プラチナ併用療法の無作為化第II 相試験 赤松 弘朗和歌山県立医科大学附属病院 呼吸器内科・腫瘍内科 Point 近年、遺伝子変異を有する肺癌では従来の分子標的薬に他剤を併用する戦略がトピックです。実際、EGFR遺伝子変異陽性例ではそのような治療が保険償還となりました。一方で稀少な変異に対しては前向き研究が中々行いにくい現状があります。WJOGの呼吸器グループではこれまで肺癌の数%と稀少なALK陽性(B-DASH試験)、KRAS陽性(SCARLET試験)の患者さんを対象とした研究を行ってきました。 今回、第3の試験としてMETエクソン14スキッピング変異陽性の方を対象に、カプマチニブと化学療法を併用する第2相試験が開始となりました。ゲームのキャラクターから取ったCREEPERという試験名になります。まだ開始したばかりで先は長いですが、B-DASH・SCARLETは世界に先駆けて行われ注目度も高い試験になっておりますので、是非引き続いて患者さんに価値のあるデータを出していければと思います。 第II相 TR研究 WJOG18123B (SAKURA) UP アロマターゼ阻害薬による手指の関節痛またはこわばりに対するエクオール含有食品の有効性を検討するプラセボ対照ランダム化試験 寺田 かおり秋田大学医学部附属病院 乳腺・内分泌外科 Point ホルモン受容体陽性の閉経後乳癌患者さんは、ホルモン療法としてアロマターゼ阻害薬を内服しますが、女性ホルモンであるエストロゲンの枯渇により、更年期症状や関節痛などの副作用を生じることがあります。なかでも関節痛は、服薬開始後に約半数の方に発現し、一般的な鎮痛薬の内服が勧められるものの、有効な対応は確立していないのが現状です。一方、大塚製薬が開発し販売しているS-エクオール含有食品「エクエル」は、エクオールという物質を産生できない体質の方(日本人の中高年女性の約半数と言われます)において、更年期のエストロゲンの枯渇により生じる手指の関節痛、こわばりなどに対する有効性を示しました。そこで今回、「WJOG18123Bアロマターゼ阻害薬による手指の関節痛またはこわばりに対するエクオール含有食品の有効性を検討するプラセボ対照ランダム化試験(SAKURA)」で、更年期症状と同様に、アロマターゼ阻害薬による関節症状をエクエルで改善できないか検討することと致しました。35施設が参加して試験が行われます。 観察研究 WJOG17423L (REAL-WIND2 study) IV期肺癌患者における多施設前向きレジストリ研究 藤本 大智兵庫医科大学病院 呼吸器内科 Point 近年の薬物療法の進歩は著しく、癌の遺伝子検査やタンパクの検査等から細分化されています。しかしながら、これらの薬剤が使用可能となった背景の臨床試験においては厳格な臨床試験適格基準によって患者選択が行われており、実地診療の日本人においてのエビデンスは不十分と言わざるを得ません。日本人実地診療における進行期肺癌患者のうちこのような臨床試験適格基準を満たす患者は約3割と報告されており、臨床試験の治療成績が本当に実地診療の日本人においても証明されるかどうかは不明であります。 また、今後の治療の進歩のためには実地診療の患者さんから得られたビッグデータを利活用することが不可欠となっています。 本試験では大規模な臨床データを創出し、そこから今後実地臨床により還元するための検討を行うためにWJOGにてIV期肺癌における大規模な臨床データを創出することを目指しています。 第II相 TR研究 WJOG17223L (TURNING試験) UP TTF-1陰性の進行再発非扁平上皮非小細胞肺癌に対するカルボプラチン+nab-パクリタキセル+トレメリムマブ+デュルバルマブ併用療法 phase II study 立原 素子神戸大学医学部附属病院 呼吸器内科 Point 遺伝子変異のない非小細胞肺がんに対しては、細胞障害性抗がん薬や免疫療法が治療の中心であり、効果が期待されます。しかし、免疫組織学的にTTF-1が陰性のタイプは、ペメトレキセド(抗がん薬)や免疫療法単剤の効果が乏しく、予後が悪いことが知られています。今回の試験では、こうした難治性の肺がんに対して、抗がん剤(カルボプラチンとnab-パクリタキセル)に加え、2種類の免疫療法(トレメリムマブとデュルバルマブ)を併用する新しい治療法の効果と安全性を調べます。より良い治療の選択肢を提供することを目指しています。 観察研究 WJOG17123L (PATHFINDER) UP 病理病期IA2-IIA期EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌における術後補助療法の実態を調査する多施設共同前向き観察研究 三好 智裕国立がん研究センター東病院 呼吸器外科 Point 病理病期IA期~IIA期の早期EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対する術後補助療法(再発を予防するための薬物治療)として、オシメルチニブという分子標的治療薬を用いた治療開発が世界的に進められています。 一方、日本ではUFTという抗がん剤が術後補助療法として長年使用されてきた歴史があり、治療効果だけでなく、有害事象や費用の観点も含めて、どちらの治療が標準治療としてより適切であるかを将来的に判断する必要があると考えられます。 本試験は、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対する術後補助療法としてのUFTの治療効果を、観察研究という手法を用いて検討するものです。本研究を通じて、日本においてUFTとオシメルチニブのいずれがより最適な術後補助療法であるかを明らかにするための、基礎となるエビデンスの構築を目指しています。 観察研究 WJOG17023L (AURORA) EGFR 遺伝子変異陽性非小細胞肺癌完全切除例の前向き観察研究 勝又 信哉静岡県立静岡がんセンター 呼吸器外科 Point 手術で完全切除を受けた病理病期 II-III期のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌患者さんは、ADAURA試験の結果により、オシメルチニブによる術後補助療法が治療選択肢の1つですが、その長期的な生存や再発への影響などはまだ不明な点が多く残されています。また、日本国内ではその他にもUFTやプラチナ併用化学療法など、病期に応じた様々な治療選択肢があり、国内での治療実態の把握はとても重要であると考えています。本試験は、8年の観察期間、12年の総研究期間を予定する長期大型の国内観察研究として計画しています。日本国内の患者さんの治療の実際と長期予後(リアルワールドデータ)を確認し、国内の患者さんにおける術後補助療法としてのオシメルチニブの安全性を検討することで、より良い周術期治療を患者さんに届けられるようになることを期待しています。 第III相 WJOG16923L (STEP UP trial) 臨床病期IA3期の肺野末梢充実型非小細胞肺癌に対する肺葉切除と区域切除のランダム化比較第Ⅲ相試験 上垣内 篤広島大学病院 呼吸器外科 Point 最近発表された大規模臨床試験(JCOG0802/WJOG4607L)により、肺野末梢の2 cm以下の肺癌に対しては、肺の切除範囲が少ない「区域切除」が従来の標準手術である「肺葉切除」と比較して予後が劣らないばかりか、優れることが示されました。肺癌以外の他病死が「区域切除」で少なく、肺の温存により身体への負担が軽減され、予後の向上に貢献したと考えられています。さらに、悪性度が高いと考えられている薄切CT上の充実型肺癌に対しても区域切除による生存利益を認め、2cmを超える充実型肺癌にも区域切除を適応できる可能性が示唆されています。一方で区域切除では局所再発のリスクが高まる可能性もあり、区域切除と肺葉切除のどちらが有効な治療法かは不明です。そこで本試験は臨床病期IA3期(2 cmを超え3 cm以下)の肺野末梢充実型非小細胞肺癌の患者さんを対象として、区域切除の臨床的有用性を、標準治療である肺葉切除と比較し評価することを目的としています。本試験の結果により、早期肺癌の患者さんに対し、より有効で身体への負担が少ない手術法が確立されることを期待しています。 観察研究 WJOG16822B (AMED全ゲノム) がん全ゲノム解析を用いた乳癌術前化学療法の最適化-pCR予測およびnon-pCRの新規Target探索- 尾崎 由記範がん研究会有明病院 乳腺センター・乳腺内科 Point トリプルネガティブ乳癌およびホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌のうち、再発高リスクの臨床病期II-IIIに対しては術前化学療法が標準的に行われます。しかし、術前化学療法の効果予測や、術後薬物療法の最適な治療選択については、まだ不明な点が多く残されています。乳癌の全ゲノム解析を行うことで、周術期薬物療法を最適化すること、また治療標的となりうる新たな分子を探索することを目的として実施しています。本試験は、日本医療研究開発機構(AMED)革新的がん医療実用化研究事業(令和5 年度) の研究開発課題名: 「全ゲノム情報等の高精度かつ迅速な患者還元および新たな創薬等の創出を通じた高度化がんプレシジョン医療の実践」の支援を受けています。 観察研究 WJOG16622L (J-GOLAZO) 非小細胞肺癌手術例における全ゲノム解析を用いたバイオマーカー研究 釼持 広知静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科 Point 非小細胞肺癌の手術後の薬物療法として、EGFRの遺伝子変異が陽性の場合には分子標的治療薬であるオシメルチニブ、PD-L1陽性の場合には免役チェックポイント阻害薬であるアテゾリズマブが承認されました。本研究では全ゲノム解析を用いて、上記治療をされている患者さんの新しいバイオマーカー(治療選択のための遺伝子の変化)を探すことを目的としています。本研究の結果をもとに、より有効な治療選択が可能になることが期待されます。 第II相 医師主導治験 WJOG16522B (PRELUDE) 周術期免疫チェックポイント阻害薬投与歴のあるホルモン受容体陰性HER2陰性転移再発乳癌に対してペムブロリズマブ+パクリタキセル+ベバシズマブ併用療法とペムブロリズマブ+パクリタキセル併用療法を比較するランダム化第II相試験 尾崎 由記範がん研究会有明病院 乳腺内科/先端医療開発科 Point 術前ペムブロリズマブ併用化学療法 (KEYNOTE-522レジメン)は臨床病期2-3のTNBC患者の予後を改善し、世界的標準治療として確立しました。しかし、同治療後の再発TNBC患者は多くの薬剤に対する治療抵抗性を有し、予後不良であるため、新たな治療法の開発が急務となっています。治療抵抗性メカニズムのひとつとして血管新生因子が注目されており、血管新生阻害薬との併用療法が治療抵抗性の克服に有望とされています。本試験は世界で初めて、KEYNOTE-522レジメン後の再発TNBCに対してペムブロリズマブ+パクリタキセル+ベバシズマブ併用療法の有効性を評価する医師主導治験であり、新たな治療法の確立が期待されています。